- -
ホテル・アーカイブズ通信 - http://www.hotel-archives.org
-
-

ごあいさつ
このメールマガジンは、実際に泊まったホテル・リゾート・旅館を、泊まった人の視点でご紹介する目的で発行しております。国内、海外をアットランダムに取り上げていきますが、将来きちんと整理して、データベースにしていこうと思っております。

今日ご紹介するのは、川には野生のホタルがいて、田んぼからは蛙のにぎやかな鳴き声が聞こえる、山あいの小さな温泉にある、8室だけの三水館という旅館です。古民家を生かしたハードと野菜中心のお料理に興味があって、前々から気になっていました。つい先日、運良く予約が取れたので、ワクワクしながら訪れてみました。期待以上に居心地がよく、違う季節にぜひ再訪したいと思いました。

「ホテル・アーカイブズ通信」 発行人
-
-
TODAY'S HOTEL Volume.07
Released at 15 July 2003
-
-
-
-
三水館
基本情報 | basic info about hotel
-
名称:
-
三水館        鹿教湯(かけゆ)温泉/長野県
所在地: 長野県小県郡丸子町西内1866-2
TEL: 0268-44-2731
FAX: 0268-44-2733
室数: 7室
主な施設: 温泉露天風呂と屋内温泉各2
URL: http://www.sansuikan.net/
プロフィール: 文殊菩薩が鹿に姿を変えて、信仰心厚い猟師に教えたという伝説が由来の、信州鹿教湯温泉で1974年にオーナーの父親が開業した旅館。2001年に移転、オーナーのこだわりを表現した宿として新たにオープンした。3年の準備期間をへて、古い民家と蔵を移築して作られた宿は、日本の原風景の一つといえる里山に囲まれ、風景にしっくりなじんでいる。
泊まった部屋: 山入(洋室スイート) 1泊2食1名 18,000円(サービス料込、税別)
撮影時期: 2003年7月
-
詳細情報 | Details

-
- -
三水館の入り口。外観は予想していたよりも新しい。古民家を2軒使って、新材と組み合わせて作ったという本館は、土壁と古材の色合いがマッチして、なんとも風情のある印象を受けた。入り口を入ると、まさに古い民家の玄関土間があり、奥の引き扉を開くと、吹き抜けになった土間に入る。靴を脱いであがった床が素足に気持ちよく、スリッパのないのがちょうどいい。
-
-
- photo-1


photo-2 -
-
- -
この旅館の看板ともいえる蔵の客室。内部は2階構造になっていて、大人6人まで泊まれる。この日も4人で泊まっていた。空いていれば、泊まってみたかった部屋。ここだけが離れで、他の部屋は本館の1階に1室、2階には土間の吹き抜けを囲むように6室が配置されている。
-
-


-
- -
山入の入り口から見た部屋の内部。入り口のすぐ左側に、アンティーク風のどっしりした家具が置かれていた。寝室の入り口の引き扉を開けて、居間まで見通したところ。寝室から居間まではカーペット敷きになっている。画面右側には、小さなシンクを備えた水屋が、奥に洗面所とトイレがある。部屋に風呂はない。
-
-
- photo-3


photo-4 -
-
- -
セミダブル幅のツインベッド。ベッドカバーは、真ん中に帯地のような織物をアクセントにした、手織り風の軽い布。ベッドは木製の枠にマットレスを置いてあり、硬めの寝心地だった。枕は下半分にそば殻らしきものを入れたタイプで、頭をしっかり支えてくれる。居間と行き来する際に、ベッドの角に何度も足をぶつけてしまったので、この点は要注意。
-
-


-
- -
山入の居間。広さは10畳くらいで、椅子とテーブルが備えられており、座卓で長時間座っていられない者にはうれしい。家具はいずれも工芸作家の作品とかで、大量生産品にはない味わいがある。天井の梁は、古民家のもの。室内の壁もすべて土壁で、日本家屋が持っていた伝統を思い出させてくれる。こうした技術を持つ職人さんがどんどん減っているのは、悲しいことだと思う。
-
-
- photo-5


photo-6 -
-
- -
風呂は2ヶ所。どちらも露天風呂と内風呂がワンセットになっていて、午後8時に男湯と女湯をチェンジして、どちらも楽しめる。写真は、石で作られた露天風呂と木製の内風呂の組み合わせ。もう一方は、露天が木製で内風呂が石でできている。かすかに硫黄のにおいがするお湯はサラッとしていた。夜には、晴れれば満天の星を眺められるとのこと。あいにくの曇り空だったので見えず、残念!
-
-


-
- -
食事は1階のお食事処でいただく。夏野菜をふんだんに使った、洗練された山里料理という感じ。写真左側の前菜に始まり、最後は鮎飯だった。右側は根曲がり竹の焼き物。焼くと、こんなにも筍の甘みと香りが強くなるのかと感心させられた。胡麻豆腐の舌ざわりが何となめらかだったことか。肉や魚も出てくるが、圧倒的に野菜中心のメニュー。
-
-
- photo-7


photo-8 -
-
- -

デザートは青紫蘇のシャーベットで、ロビーラウンジで出された。手前に見える、古い梁をつなぎ合わせた大きなテーブルを囲んで、客どうしの会話も自然とはずむ。クラシック中心のCDライブラリーがあり、自由に聴くことができる。黒光りする床や、片隅に置かれた古い茶箪笥に、なつかしさを感じた。

-
-


-
- -

シンプルな朝食。高級旅館でこれでもかと出される朝食に辟易している者にとっては、ありがたい量だった。何気ない品々と絶品のたくわんに大満足。日本人が長年食べなれてきた朝食とは、こんな感じだったのかもしれない。

-
-
- photo-9


photo-10 -
-
- -

玄関左側にあるテラス。朝食後、ロビーラウンジに用意されているコーヒーをここに持ってきて、ゆっくりと流れる時間を楽しんだ。さまざまな蝶々が舞っていたり、野鳥が飛んできたりと、ただ眺めているだけなのに何とも心地いい。この後、温泉の醍醐味、朝湯を浴びてから、チェックアウトまでさらにのんびり過ごした。

-
-


-
- -

玄関の内側の土間に置かれたアート。同じ作家の作品が、館内のあちらこちらにさりげなく置かれていた。山野草の生け花と相まって、見る者にやさしい気持ちを抱かせる。オーナーの控えめな応対と、何か共通したものを感じた。

-
-
- photo-11

-
- -

<泊まってみて>
泊まった後にいちばん印象に残ったのは、細やかな心づかいでした。ちょうどホタルの見ごろで、オーナー自らホタルが見れるかどうか確認した上で教えてくれた、絶好のポイントに行ってみると、言葉通り、真っ暗闇の中をホタルが10匹ほど飛び交っていました。都会に暮らす者にとってめったにないチャンスを、確実に体験できるようにという配慮がうれしかったです。また、風呂場では、昼間は開放感を満喫できるようにというのか、露天風呂と内風呂の間にあるガラス扉を外してあり、夜は外気温が下がるため、はめてありました。あぁこんな気配りもあるのかと、意表をつかれました。ゲスト以上にゲストの視点で考えるオーナーの旅館づくりにすっかり感動してしまいました

-
-
編集後記 | From editors
-
最近、旅館の良さに目覚めたのかもしれないと自己分析しています。今回は、旅日記風に過ごした時間を再現してみました。文章に書ききれない心地よさを、写真を見ながらイメージしてくださるとうれしいです。さて、次回は、南太平洋の世界的に有名なリゾートに飛んで、夏にふさわしい、すばらしい海の色をご覧いただきます。そろそろ、梅雨明け。青い空と太陽が待ち遠しい今日この頃ですね。
--

掲載している情報はできるだけ正確を期していますが、間違っている場合もあるかもしれません。このメールマガジンに掲載された情報によって、読者が損害をこうむったとしても、発行者は責任を負うことができませんことをご了承ください。読者の自己責任の範囲で参考にしてくだされば、幸いです。
このメールマガジンの内容を無断で転載することはご遠慮ください。
このメールマガジンは、まぐまぐ、melma!、Pubzineのシステムを利用して配信しています。ご登録を解除されたい場合は こちらからどうぞ。

--
ホテル・アーカイブズ通信
発行者:HOTEL ARCHIVES
ご意見、ご感想なんでもお寄せください: info@hotel-archives.org
-
Copyright (c) 2003 HOTEL ARCHIVES. All right reserved.
-
- -