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このメールマガジンは、実際に泊まったホテル・リゾート・旅館を、泊まった人の視点でご紹介する目的で 発行しております。
国内、海外をアットランダムに取り上げていきますが、将来きちんと整理してデータベースにしていこうと思っております。
最近、多くて20室くらいの宿が気になっています。そういう宿に共通点があるとしたら、オーナーの個性やコンセプトが明確であることでしょうか。
今週ご紹介する旅館すぎもとも、そんな宿の1軒ではないかと思っています。美味しい食事が有名ですが、オーナーの哲学に貫かれた、かなり独特の世界が気に入って再訪してみました。 |
「ホテル・アーカイブズ通信」 発行人 |
誌面リニューアルのため、次号は休刊します。
毎週火曜日に発行しておりますが、誌面を刷新するため、第56号ホテル・アーカイブズ通信は7月13日(火)に発行します。どうぞ楽しみにお待ちくださいませ。
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Volume.55
Released at 29 June 2004 |
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民芸の宿 旅館すぎもと |
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名称: |
民芸の宿 旅館すぎもと |
所在地: |
長野県松本市里山辺451-7 |
TEL: |
0263-32-3379 |
FAX: |
0263-33-5830 |
室数: |
18室 |
主な施設: |
食事処 男女別大浴場 貸切温泉 |
URL: |
http://www.mcci.or.jp/www/sugimoto/ |
プロフィール: |
すぎもとは、古く奈良時代から名湯として知られ、江戸時代には藩主の庇護を受けていた美ヶ原温泉にある。
束間の湯と呼ばれる源泉の上に建つ、木造3階建ての趣ある松軒楼は昭和8年築。館内には松本民芸家具がふんだんに置かれ、重厚感のあるインテリアになっている。
美食の宿として、全国から訪れる人が絶えない。料理についてのリクエストも可能な限り相談に乗ってくれる。 |
泊まった部屋: |
乗鞍 2名利用の1名 1泊2食付21,150円(税サ込) |
撮影時期: |
2004年5月 |
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写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。 |
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松本の中心部から車で15分ほどの美ヶ原温泉は、こじんまりした温泉地。かつてはにぎわっていたのだろうが、今ではクローズしてしまった旅館が何軒かあって、いささか寂しい感じがする。
そんな中、このすぎもとをはじめ、数軒の旅館ががんばっている。入り口のある建物は昭和8年築というが、メンテナンスがしっかりしているらしく、数年前来た時と変わらぬ外観。 |
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玄関を入って右側にあるラウンジ。松本民芸家具のショールームかと思うほど、椅子やテーブルが所狭しと置かれている。
マッキントッシュ製の真空管を使ったオーディオから流れるBGMが心地よさを誘う、旅館らしくない空間である。
この他に、別棟に暖炉を備えた昔の洋間風のラウンジもあり、ここにも小さな真空管アンプを使ったCDプレーヤーが置かれていて、落ち着いた音楽を奏でていた。 |
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今回泊まった乗鞍は、晴れた日には名前の通り、乗鞍岳が見えるという2階にある部屋だった。8畳の板の間と8畳の和室に洗面スペースとトイレが付いており、板の間には火は使えないが囲炉裏がある。
これ、実は動かせる箱型の囲炉裏で、こんなものがあるのかと驚いた。2脚置かれた小さな椅子は子供用かと思われるくらい低いのだが、座ってみると意外に楽でくつろげる。 |
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一段高くなった和室は、照明器具にも凝った、統一感のあるインテリア。夕食をとる間に布団が敷かれ、寝室になる。
間にある木戸を閉めれば2室になるので、同室の人が眠ってしまっても、囲炉裏の間で過ごせる。和風スイートと言ってよい。 |
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玄関ロビーの奥にある中庭の風景。籐の椅子が置かれており、湯上りに一休みしたり、オープンエアのラウンジとして使われたりする。
椅子の傍らには、冷やしたビール(有料)なども用意されている。源泉の噴出し口を隠す囲いが鏡面仕上げになっているので、狭い庭をとても広く見せている。 |
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庭の一角に作られた男女別の大浴場と貸切温泉は回廊沿いに並んでいる。これはその回廊沿いの風景。
一般家庭の庭ではなかなかむずかしい枯山水の庭園は、見る者の心を和ませる。この他、信州ならではの道祖神が庭内のあちこちに祀られている。 |
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これは貸切温泉の写真だが、正面に見える坪庭に面白い仕掛けがあるので、行った時のお楽しみに。
貸切温泉に露天はついていないが、カップルや家族連れには人気があるようだ。においもなく、さらっとしお湯だった。
大浴場には露天風呂と内風呂があり、男女ともほぼ同じ広さである。 |
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美食の宿として知られるすぎもとの夕食は、ご主人がお酒好きのせいか、酒の肴のオンパレードである。
はじめに出されたのが、細長い大皿に盛られた5種類の酒肴。想像を超えるほど鮮烈な味と香りのわさびの塩漬け、春の精気を感じさせる山うどの粕漬けが絶品だった。
ちなみに酒類は、日本酒はもちろん、ワインも用意されている。ボトルを空けられるほどではないのでグラスワインを頼んだが、十分美味しかった。 |
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雑誌などでよく「松本三昧」と紹介される10種類ほどの山菜の盛り合わせは、素材本来の香りやえぐみを味わうもの、濃い味付けのしっかりした煮物など味のバリエーションが豊かで、酒が進む進む。
この他、いさざの踊り喰い、蛍いかと桜海老のしゃぶしゃぶ、信州牛の石焼き、馬刺しのタルタル、絶品のざる豆腐などが次々に出された。
ボリューム派の方でもおそらく満足されるだろうが、別注メニューもあるので、相談してみては。 |
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大満足の夕食のシメは、食事が始まる頃から卓上の隅で炊いていた釜飯。大好きな豆ご飯は炊きたてで香りがよくて、満腹のはずなのに入ってしまった。
すぎもと名物のご主人手打ちの蕎麦は、前回いただいて、美味しいのはわかっているが、満腹だったので今回はパスさせてもらった。 |
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最近新設されたバーは、すぎもとのご主人がただものでないことをますます実感させる、独特の雰囲気を持った隠れ家的な空間。
食後に寄ってみようと思っていたが、夕食があまりに満腹だったのと、料理につられてお酒をかなり飲んでしまったので、パスせざると得なかったのが残念。
次回はぜひトライしたい。 |
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