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Today's hotel |今日のホテル Volume.75
Released at 07 Dec. 2004

レゾネイトクラブくじゅう
大平原に建つユニークなデザイン・リゾート
九州中央部、今でも一角から噴煙を上げているくじゅう連山の東麓、ススキの穂が美しい大草原の真っ只中に、そのリゾートはありました。
これは、客室をつなぐ回廊から撮った夕方の風景です。環境との調和を第一に考えた赤茶色の木造建築群は、日が傾くにつれて壁の色が赤みを増し、銀色に輝くススキの穂も美しさを増していきます。レゾネイトクラブくじゅうの西側にある山の稜線と、メイン棟の屋根のカーブが絶妙に重なりあっているのが見えます。
40平米を超える部屋は、ジュニアスイート仕様になっており、稲星山の反対側の草原に向いていて、延々と続く大平原の向こうに、阿蘇や高千穂の山々が遠く連なっているのが見渡せました。
やがて、日が落ち、光が失われると、黄色味を帯びた照明がリゾートを照らし、屋根の瓦が月光に映えて銀色に輝くロマンチックな空間が広がります。巨木の梁を渡した天井の高いレストランでは、豊後牛の網焼きが供され、食後、その一角で、1970年代の名曲がピアノの弾き語りで演奏されます。そして、朝の光の中で、リゾートはまた再びその色を変えていきます。
日本には珍しい大草原の中のリゾートは、自然と人工物との共鳴(レゾネイト)が実現した快適な空間でした。
レゾネイトクラブくじゅう
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基本情報
名称: レゾネイトクラブくじゅう
所在地: 大分県直入郡久住町大字有氏字広内1773
TEL: 0974-76-1223
FAX: 0974-76-1460
室数: 58室
主な施設: レストラン2 男女別大浴場 貸切露天風呂3 ショップ
URL: http://www.resonate.co.jp/
プロフィール: 1994年にオープンした、日本でデザインホテルズに加盟している3軒のうちの1軒。建築家が現場に立って得たインスピレーションを絵コンテに起こしたというデザインコンセプトは、さまざまな国の風景を融合した無国籍風。福岡から車で2時間半、湯布院、黒川温泉など周囲にも魅力的な滞在地があり、周遊旅行もおすすめ。
泊まった部屋: 208号室 秋の平日プラン 2名利用1泊2食1名分 15,500円(税サ込み) 
撮影時期: 2004年10月
投稿者: ピクシー

詳細情報

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夕暮れの光に映えるメイン棟
やや赤みを帯びた夕暮れの光に照り映えるメイン棟。
1995年にグッドデザイン賞を受賞したレゾネイトクラブくじゅうは、その前年にオープンし、今年で10周年を迎えたリゾートである。
阿蘇くじゅう国立公園の中に位置するため、きびしい環境アセスメントを実施し、たとえば小動物の通り道を確保するため、宿泊棟の一部を高床式にするなど、自然環境保護への配慮がなされている。
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無国籍の低層木造建築群
自然の中に溶け込むような色使いで建てられた低層の木造建築群は、中国奥地の村と、アメリカの西部開拓時代を意識してデザインされたとのこと。
言われてみると、尖塔の並んだメイン棟の屋根は、ケンタッキーダービーが行われる競馬場のスタンドを連想させ、客室のインテリアには、スペイン風やサンタフェ風、純和風も混ざっている。「自然との調和を重視した無国籍リゾート」というのが正確な表現か。
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天井の高さがくつろぎを呼ぶ客室
豪華さはないが、木の質感が心地よい客室は、広さも42平米とゆったりくつろげる空間である。
寝室部分が階段3段分ほど高くなっており、窓に面した下の段にリビングスペースのある、ジュニアスイート仕様の立体的な造り。風の通り道を計算した、天井の高い平屋建てのおかげで、リビングのソファーに寝ころぶと、部屋の「容積の広さ」が感じられて気持ちがいい。
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洗面スペースはオープン
リビングの奥から見た客室風景。左側から玄関、大きな冷蔵庫が収納された上にTV,階段を上がったところにクローゼット、洗面スペース、トイレが並んでいる。
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大平原ビューの浴室
部屋のバスルームは温泉ではないが、大平原が見渡せる展望風呂になっている。
ご覧のように、部屋の中からも外からも丸見えだが、内側にブラインドがついているのでご心配なく。石で出来た深めの浴槽は、見た目以上に広く、景色を見ながらゆったりと湯につかることができる。ただし、給湯のスピードはかなり遅い。
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実は手のかかった景色
泊まった部屋からの眺望。一面のススキの原が広がり、下っていく斜面の向こうに農地や集落が、そして遥か彼方に山の稜線が連なる秋の光景は見事だった。
リゾートが使っているのは16ヘクタールある敷地の5%以下という、贅沢な土地の使い方ゆえの景色。さらに、「放っておくと雑木林になってしまうので、スタッフが野焼きをして草原を維持している」という手間のかかった景色でもある。適度に人の手が入らなければ、いいリゾートは作れない。
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純和風の温泉「紅殻の湯」
基本的には洋のリゾートだが、大浴場は純和風で、日帰り入浴もできる。「紅殻の湯」の名前通り、茶褐色の濁ったお湯は日本では珍しい炭酸泉。家族連れのゲストが多いようなので、温泉があるとお年寄りには特にありがたいだろう。
ちなみにこのリゾートは斜面に建てられているため階段が多いが、近年増築された和洋室は、室の内外とも段差がほとんどなくお年寄り向き。
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重厚な雰囲気のレストラン
メインダイニングのレストラン「メテオ」は、アメリカやカナダの山岳国立公園のホテルで見かけるようながっしりとした造りの空間である。極太の梁や柱は一見古材のように見えるが、実際にはカナダ産の米松の新材。クスやヒノキでできたテーブルや背の高い椅子は、川崎市にあるデザイン工房製。
洋食ディナーと朝食(ビュッフェ)はこのメテオで、和食ディナーの場合は日本料理「和心」でいただく。
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看板メニューの牛モモ肉炭火焼
レストラン「メテオ」の中心には、巨大な牛のモモ肉のローストが吊るされている。これが出てくるのかと思ったら、シェフいわく「この大きさの肉を丸ごと焼くと16時間かかります。これは飾りで、実際には2〜3キロ程度の固まり(写真左下)を炭火焼しています。」
看板メニュー「豊後牛モモ肉ロティスリー焼」は、油の少ない部位をじっくりとあぶり焼きしているため、肉本来の旨味がストレートに伝わってきて、かみしめる程に満足感が広がってくる。
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実は大人のリゾート
夕食が終わると、メテオの一角がバーに変わり、ピアノの弾き語りを楽しみながら、ゆったりと時の流れるのを楽しむ大人の空間になる(ゲストの服装がラフなのは、日本だから目をつぶる必要があるが・・)。
ビートルズやカーペンターズのナンバーを演奏していたのは、カナダ出身・大分県日田市在住という男性アーティストで、現在、週に6日間出演中と聞いた。
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あらゆるシーンがすばらしいテラス
メテオの外側に広がる木のテラスが良い。朝にはオープンテラスでの朝食が楽しめ、昼は大平原と山を見ながらのんびりできる場になる。そして、夜には黄色味を帯びた照明がロマンチックなムードをかもし出し、月の光や星を見ながらの酔いざましや語らいに、ぴったりの空間となる。
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土地の食材が彩る朝の食卓
運良くテラス席が空いていたので、朝食は大平原を眺めながらオープンテラスで。和洋のビュッフェのうち、専ら洋食をいただいたが、絞りたての牛乳やトマトジュース、地元の2つのメーカーが作るソーセージ類が計4種類、地元の野菜、自家製のゆずジャム・・。旅先だからこそ食べたい土地の食材の充実が目をひいた。自家製のパンもおいしく、思わず食べ過ぎてしまうほど。1泊2食15,000円〜18,000円程度の価格を考えると、コストパフォーマンスはきわめてよい。
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朝の光線が風景の色を変える
朝の光がくじゅう連山の色を変える。前日の夕方には、赤みを帯びてかすかに霞んでいた山の稜線が、青く染まっている。西陽の光の中で輝いていたメイン棟の建物は、風景の中に溶け込むような地味な色に変わっている。部屋の窓から見える東斜面のススキは、逆に輝きを増している。光の変化でこれほど表情を変えてくれるリゾートは、決して多くない。
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噴煙をあげるくじゅうの山並み
レゾネイトクラブくじゅうとは反対側にあたる西麓から見たくじゅう連山の眺めは、東側からの優しい眺めと対照的に迫力がある。
ここには、湯布院と阿蘇をつなぐ「やまなみハイウェイ」が通り、九州観光の大幹線の1つとなっている。
そんな所へ1時間以内に行け、かつ、リゾートの周辺は静謐さが保たれている。こうした立地も大きな魅力に違いない。
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From Editor | 編集後記
以前ご紹介したことのある、おすすめのカルチャー講座が来年1月からの3ヶ月コースを開講します。
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今年もあとひと月を切りましたが、いかがお過ごしでしょうか。個人的にこの1年を振りかえってみますと、環境が目まぐるしく変わり、何かと落ち着きませんでした。 さて、ホテル・アーカイブズ通信は、年内にあと2回発行し、年明けは1月11日(火)から新年のスタートを切る予定です。1年の締めくくり、充実した時間をすごされますように。

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