ホテル鹿島ノ森は、旧軽井沢の別荘地の森に囲まれて静かにたたずんでいます。夕方の温かな光の中で、1万坪の敷地内にある遊歩道から見た2階建てのホテルは、優しい印象を感じさせる建物です。どちらかというと地味な外観で、目を引くような装飾がないことが、かえって森の空気に調和し、周りの環境との一体感をもたらしています。
このホテルには大きな看板はありません。エントランスも簡素そのものです。フロントやロビーも、そしてゲストルームもいたってシンプルで、庭も、広大な芝生の所々に木々を残してあるというシンプルなものです。ホテル側が売り物にしている訳でも、スタッフの方が教えてくれた訳でもないのですが、このホテルの最大の特徴は、このようなシンプルさだと思います。
レストランでは、コーンスープ、舌平目のムニエル、シャリアピンステーキ、チョコレートサンデーといった昔の洋食メニューが目立ちます。一方、2年前に完全リニューアルしたばかりの部屋の設備は最新のものになっていますし、料理の水準やサービスには、「さすが名門リゾート」と思わせる質の高さを感じました。
最近のブームやトレンドには迎合せず、古くからのお得意様を中心に、昔ながらの「上質のシンプルさ」と「静かさ」をさりげなく提供する。それをわかってくれるお客様にかわいがってもらえれば良い。ホテル鹿島ノ森は、そんなはっきりとした哲学を感じさせるホテルです。 |
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