白一色の壁、存在感のあるベッド。板張りの床。1枚ガラスの大きな窓の外一面に広がる日本海。海に向けて据えられた革張りの大きなソファー。必要な機能はできるだけクローゼットの中に納め、目に見える所に置かれる備品を最小限にした室内。「亀や」の514号室は、温泉旅館とは思えないような超モダンな空間でした。
山形県西部の日本海に面する湯野浜温泉の老舗旅館「亀や」に、2004年10月、「KAMEYA514-519」と称するモダンな洋室6室がオープンしたと聞いたのは、昨年末のこと。それ以来、近くの湯田川温泉で和モダンの宿「湯どの庵」を経営する「亀や」の新たな挑戦に、興味を惹かれていました。
個人客にとってどのくらい心地よい空間になっているのか、半信半疑のまま訪れたのですが、部屋のデザインや機能は明らかに期待を上回るものでした。特別室をつぶして新しく作ったというモダンな食事処で出される夕食のみならず、朝食も、さまざまな海藻を含む山海の幸がバランス良く供され、甘辛酸のバリエーションが豊かな和食で、満足度の高いものでした。
スムーズさを欠いたチェックインをはじめ、気になる点があったことも事実ですが、プラス要素の方をはるかに強く感じます。まだそれほど有名になっていない存在ですが、ホテル好きの方にぜひ体験してほしい「次世代温泉RYOKAN」だと思いました。 |
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