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Today's hotel |今日のホテル Volume.101
Released at 12 July 2005

ホテル立山
山々の頂きに手が届きそうな雲の上のホテル
2004年8月に日帰りで訪れた立山にすっかり感動して、今度は雷鳥が見られる6月初旬に、ぜひ泊まってみようと、かなり前から計画した旅でした。
立山黒部アルペンルートの中でも、景勝地で知られる室堂にあるホテル立山は、その抜群のロケーションがいちばんの魅力です。ホテル自体が標高2,000mを越える高さにあり、3,000m級の山々が連なる立山連峰はもうすぐ目の前です。本来なら自分の足で登ってはじめて眺められる景色を、楽に楽しめるホテルは、そうざらにあるものではないでしょう。
実際泊まってみると、ホテル全体が古めかしい感じは否めませんが、財産とも言える自然を、いかに楽しんでもらうかという工夫が伺える努力で、カバーされていると思いました。メンテナンスの追いつかないところも散見されましたが、そんなことは優先順位の下の方だと思えるほど、きびしい自然からホテルやその周辺の環境を地道に守っているという気概を感じました。
遅い春から短い夏を経て早い秋まで、その時その時、さまざまな景色を楽しめるので、リピーターも多いとのこと。次回は紅葉の季節に訪れたいですね。
ホテル立山
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基本情報
名称: ホテル立山
所在地: 富山県中新川郡立山町芦峅寺室堂
TEL: 076-465-3333
FAX: 076-465-3336
室数: 85室
主な施設: レストラン バー ラウンジ 大浴場
URL: http://www.alpen-route.co.jp/h-tateyama/
プロフィール: 1972年開業。富山県と長野県にまたがる立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルに直結しており、標高2,450m、日本で一番高いところにあるホテル。毎年4月から11月だけ営業している。富山側からは、富山地方鉄道立山駅からケーブルカーで美女平へ。 美女平から高原バスで室堂へ。立山駅から室堂へバスで行く方法もある。信濃大町側からは、路線バスまたは車で扇沢へ。扇沢からトロリーバスで黒部ダム、地下ケーブルで黒部平、ロープウェイで大観峰、そしてトンネルバスで室堂へ。アクセスについての詳細は、立山黒部アルペンルートを参照。
泊まった部屋: (アップグレードされて) スイート 1泊2食2名利用1名分 33,600円(税サ込み)
撮影時期: 2005年06月 (一部2004年08月)

詳細情報

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泊まってこそわかる醍醐味
ホテル立山は、立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルに付随して建てられているため、昼間は日帰り客で混雑するが、夜から朝にかけては、宿泊者だけが雄大な自然を一人じめ。
夜、晴れれば満天の星に息を呑み、朝は鳥のさえずる声だけが響く静寂に気づく。そういう時間を持てるからこそ、ここに泊まる価値がある。標高2,450mでは、6月でもご覧の通りの雪景色。
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ちょっと昔風のホテル内
予約したのは、バス、トイレ付きの洋室だったが、アップグレードしてくれて、スイートに泊まることに。
角部屋なので、リビングからは富山方面が、寝室からは立山連峰が目の前に連なるさまが手に取るように見えるはずだった。
しかし、あいにく到着した日は雨で、標高の高いホテルはすっかり雲の中。窓からはほとんど何も見えなかった。
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広さはあるが・・
贅沢なほどスペースのあるスイートだが、昨今のリゾートホテルのような華やかさやデザイン的におもしろみのある部屋ではない。
トイレ・バス・洗面所がいっしょになったユニットバスの他に、洗浄機能付きの個室トイレがあった。立地のよさを決め手に泊まるなら、3階にある大浴場を利用できるので、20平米のバスタブのない部屋でも十分かもしれない。
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日ごろの行いがものを言う?
翌朝は、万葉の時代から霊峰として信仰を集めていた、立山から昇る太陽の光を雪が反射して、まぶしいほどの明るさに自然と目覚めてしまった。昨晩の天候がうそのように晴れ渡り、すばらしい眺めが広がっている。富山平野方面は雲海の下に隠れており、まさに雲の上にいることを実感した。
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雄大な自然に調和したラウンジ
5階にあるラウンジは、客室とは異なり、大きな窓がたくさんあって、ゆったりとした雰囲気で周囲の景色を楽しむにはぴったり。このホテルは、客室が狭い分、こうしたパブリックスペースの居心地のよいのが、長所のひとつだと思う。 窓際に置かれたレトロなライティング・デスクの前に座ると、万年筆で手紙を書きたくなるような佇まい。
手前のソファはこのホテル独自のオリジナル・デザインだとか。
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名水で抽出した水出しコーヒー
ホテルのエントランス横にある喫茶室は、軽食も取れるオールデイダイニングを兼ねている。立山山麓の涌き水で抽出した、名物の水出しコーヒーはまろやかで、すっきりした飲み味。
山小屋風のシャンデリアと、どこか懐かしい感じのする調度品がマッチしている。
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メインダイニング「つるぎ」
夕食は和・洋いずれかを選択することができ、洋食はメインダイニング「つるぎ」で摂る。これは、2004年8月に日帰りで行った際に撮影したもの。椅子の背もたれが、5階のラウンジのソファと同じ意匠になっている。調度品へのこだわりが感じられた。
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驚きの調理
夕食には洋食を選択したところ、前菜、スープ、魚、肉、デザートとフルコースだった。肉料理はステーキで、マデラ酒風味のソース。 ミディアムレアの焼き加減は文句のつけようがない程すばらしかった。標高2,000mを越える場所となれば、気圧の関係で当然沸点が下がり、これだけのステーキを焼くのは至難の業だろう。 実を言うと、食事に関しては、特に期待していなかったので、これは大いなる驚きだった。
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朝食後のコーヒー・サービス
朝食は、和食堂で和洋ビュッフェ。取り立てて美味しいと思うものはなかったが、窓のない和食堂から「つるぎ」に席を移し、雄大な景色を眺めながら、セルフサービスのコーヒーを飲めるというセッティングはよかった。
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メイン・イベント
朝食後、まだ一部しか開放されていない、室堂の散策路を無料貸し出しの長靴をはいて散歩した。左側が雄山の稜線。残雪のところどころに見える緑はハイマツで、雷鳥が見られる目印。
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ナマで見た!雷鳥
6月初旬なら見る機会が一番多いからと、今回の旅を計画した甲斐あって、特別天然記念物の雷鳥を間近で見ることができた。
眼の上の赤が特徴のオスは、ハイマツの上で周囲を見張っている様子。冬には白一色だった羽根が、夏に向かって色を取り戻しつつあることがよくわかる。後で聞いたが、警戒しているのは人間でなく、ライバルのオス。オスどうしが威嚇しあっているのも見ることができた。
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守られていた愛妻
こちらが雷鳥のメス。まだ巣作りするには早い時期だったらしく、餌をついばみながら、けっこう近くまで寄ってきた。ホテルで雷鳥がいるポイントを教えてくれる。
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立山と言えば「雪の大谷」
ホテル立山へバスが到着する直前に通るのが、観光ポスターでおなじみの「雪の大谷」。6月初旬で12mの高さがあった。氷河の先端を思い出させるようなスケールの大きな眺めは圧巻。今年は雪解けが遅く、まだ数メートルの壁があるとか。
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真夏は高山植物の花畑
8月ともなれば、さすがの室堂も雪がすっかり消えて、3,000m級の山頂付近に雪渓が見える程度になる。この時期は、高山植物が次から次へと可憐な花を咲かせる花畑を散策できる。 真夏、早春と体験した立山に、次は燃えるような紅葉の季節に訪れたい。今度は、満天の星が見られるといいなぁ。
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From Editor | 編集後記
第100号を発行して、ちょっと一息つくために1週お休みしたのですが、突如舞い込んだ魅力的な誘いに乗って、アジアの某都市に行ってきました。初めて訪れたその街は、人々のエネルギーが満ちあふれ、ただただ圧倒されることばかり。 古いものと新しいもの、東洋と西洋、秩序と混沌・・さまざまな両極端が混在しつつも、発展し続けているさまを見て、「先に進もう」という意欲は、人間にとって本能ともいえるのではないかと思いました。しかしながら、はたして先に進むだけでいいのかと、心の一方で疑問に思ったことも確かです。

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