発行人から話を聞き、ぜひ一度行ってみたいと思っていた信州鹿教湯温泉の三水館で、1室しかない蔵の客室に泊まってきました。
ほぼ100年前に建てられ、1階は座敷、2階は書庫として使われていた蔵を移築した部屋です。ほとんど手を入れずに再生したというだけあって、1階には昔の土間、建具、ふすまなどが使われていて、色あせたふすまを敢えてそのまま使用するなど、良い意味で古色蒼然とした雰囲気に包まれています。2階は、カーペット敷きの洋室に改造されていて、リビングルームとベッドルームに分かれた近代的なミニ・スイートになっています。
こうした本物へのこだわりは、地の野菜を中心とした、素朴なのに洗練された食事にも、強く感じられます。笑顔の絶えないスタッフと趣味の良い空間に囲まれて、穏やかな時間をすごせる旅館だと思いました。
さらに、私の大好きな「右馬允」のご主人と親交があることがわかり、「右馬允さんを手本に頑張っていますが、なかなか追いつけません。」と語る若主人の真意は聞きそびれましたが、どちらも本物を追求し、お互いを磨き合っていることは素晴らしいことだと感じました。
蔵でも1泊2食2万円あまり。本館で1万円台の価格は、きわめてリーズナブルです。平日でも1ヶ月以上前にほぼ満室になってしまう人気の理由が、よくわかりました。 |
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