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Today's hotel |今日のホテル Volume.112
Released at 04 Oct. 2005

山の上ホテル
クラシックホテルで旅館のおもてなし
「白雲なびく駿河台」と明治大学の校歌に歌われている東京御茶ノ水の駿河台は、昔は見晴らしの良い大地だったのでしょう。その高台にある「山の上ホテル」は、近くの明治大学がすっかり現代的な建物に変わってしまった今でも、昔のままの姿でたたずんでいます。文豪たちが数多く宿泊し、仏蘭西料理や天ぷらに舌鼓を打った名門ホテルは、新館こそできたものの、レトロな本館を建て替えることをせず、近代的なホテルが多い東京都心では、異色の存在といえます。
ホテル選びの際、施設が古いことに少し不安があったのですが、「文豪の愛した朝食」が食べられることにつられて泊まってみました。部屋こそ狭いものの、水回り・エアコンなどの使い勝手には特別不自由を感じませんでしたし、むしろ、旅館をほうふつとさせるようなおもてなしがあったりして、サービス面の工夫に感心させられました。
ロビーの備品には昔ながらのものが数多く使われており、古いけれど座りごこちのよい革張りのソファが置かれていたり、フロントに置かれたガラス瓶にレトロなマッチ箱が山積みされていたり、女性スタッフのユニフォームが昔のお仕着せ風だったり・・。歴史のあるホテルならではの特徴が、なお一層居心地よく感じられたのでしょう。さりげなくゲストの動きに気を配り、リクエストへの対応が的確なホテルスタッフの質の高さも、名門ホテルにふさわしいものでした。これからも変わってほしくない貴重なクラシックホテルだと思います。
山の上ホテル
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基本情報
名称: 山の上ホテル
所在地: 東京都千代田区神田駿河台1-1
TEL: 03-3293-2311
FAX: 03-3233-4567
室数: 74室
主な施設: レストラン7 バー3 コーヒーショップ
URL: http://www.yamanoue-hotel.co.jp/
プロフィール: 1937年に建てられた、女性のための欧米式礼儀作法の啓蒙施設がオリジナル。戦後、GHQに接収され、女性将校の宿舎になったこともある。1954年にホテルとしてオープン。多くの文人が滞在したことでも有名。地下鉄やJRの駅が徒歩圏内にいくつかあり、街歩きにも便利。
泊まった部屋: 本館ツイン 一休.com 健康応援プラン朝食付き1泊 2名利用 23,500円(税サ込み)
撮影時期: 2005年09月

詳細情報

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ヒルトップの愛称の通り
JR御茶ノ水駅を神田駿河台下方向に歩いていくと、明治大学の超近代的なビルが目を引く。その手前にホテルの看板があり、矢印通り、短い登り坂のつきあたりにホテルが見えた。正面に本館、道をはさんで向かいあうように別館がある。
ホテルのHPによると、GHQ時代にヒルトップという愛称で呼ばれたのを、「山の上」に替えてホテルの名前にしたとか。
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アールデコの雰囲気を今に伝える
オリジナルの建物は、日本に帰化したアメリカ人によって設計されたとのこと。当時流行のアールデコ様式を取り入れたファサードは、6階建てながらも堂々とした印象を見るものに与える。
左側はツタにおおわれた立体駐車場。紅葉の時期には真っ赤に染まるのか。
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シンプルなエントランス
もともと研修施設だったと聞くと納得の、シンプルなエントランス。ヨーロッパの都会のちょっと路地を入ったところにあるホテルの入口を連想させる。
付近にはスタッフがいつもいて、荷物を持って案内したり、車の誘導をしたりしていた。
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不思議なソファ
横長の狭いロビーの左奥にあるラウンジ。一人掛けのソファがたくさん置いてあり、その座面のマットがなぜか盛り上がっている。腰を下ろしてみると、なかなかのすわり心地。板張りの壁と赤いカーペットがアットホームな雰囲気をかもし出している。
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狭いのは承知の上だが・・
文筆家が原稿を書いたなど、由緒ある部屋があるのは知っていたが、所用で滞在時間が短いこともあり、今回は24平米ほどのツインに泊まった。
写真は、部屋のドアを開けたところで撮ったもの。入ってすぐ右側にクローゼット、左側にバスルームがある。
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ほとんどベッドが占領
ごく普通幅のベッド。枕はしっかり硬いものと頭を乗せるとぺちゃんこになるくらい柔らかいものが2つ。枕元には、冷水の入ったポットが用意されていた。
館内に酸素とマイナスイオンを供給しているとのことで、居ながらにして森林浴ができるという、ユニークなおもてなし。
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歴史を感じさせるTVの位置
ホテルがオープンした当時には想定されていなかったTVを、置くスペースがなかったと見え、ベッドと壁の間に何とか置いたという感じか。置かれたテーブルが回せるので、ベッド側からも視聴可能。プログラムにはNHKの衛星放送、CNNも含まれ、機能的には十分だった。
レトロなフロアスタンドの右側に、お茶のセットと下段にミニバー。
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柔らかいデザインのドレッサー
部屋の片隅に置かれたドレッサーは、曲線でデザインされた柔らかな感じがした。
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無料の高速回線接続だが・・
ホテル全室に光ケーブルのネット接続を完備しているとのことだったが、ケーブルジャックは、何とナイトテーブルの脇に設置されているので、かなり長いケーブルを使わないとデスク上ではPCを使えない。
勉強机のようなデスクまわりだが、バラが一輪あるだけで、ほっとする。こういうおもてなしは嬉しい。
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ごく普通のバスルーム
部屋全体の広さから考えれば、それほど狭くないバスルームは、ごく普通。バスアメニティは、ホテルオリジナルのもの。トイレは洗浄機能付き。
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エアコンカバーの装飾
窓際に設置されたエアコンは、全体が板で覆われ、まるで腰板のような雰囲気。表面の金属の装飾が何ともいい味わいで存在感がある。
窓の外は、明治大学のキャンパス。課外活動のバンド練習が聞こえてきたりして、遠い日を思い出させてくれた。
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デザート付きウェルカムティー
部屋に案内されたとたん、「お茶をお持ちしますが」と言われたのは、国内のホテルでは初めての体験だった。冷たいお茶を所望すると、グレープフルーツの入ったゼリーもいっしょに供された。
夜、食事から戻ると、これらの食器が片付けられて、代わりにオレンジが。旅館のような細やかな心づかいにすっかり感心してしまった。
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よく磨かれた手すり
本館の入り口を入ると、エレベーターと階段室が隣り合っている。エレベーターは、かつて蛇腹の鉄格子を開け閉めして、ハンドル操作の手動式だったらしい。旧仏領だった東南アジアのリゾートにはまだ残っているようだが、ここにもあったらよかったのにと思う。
階段の手すりがピカピカで、古い建物を手入れしながら使ってきた歴史を思わせる。
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絵になる調度類
ホテルのあちらこちらに、アールデコの意匠を感じさせる照明があり、これもそのうちのひとつ。モダンなデザインにはない温かみを感じる。
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文豪が愛した和朝食
朝食は和洋いずれかを選択できる。今回は、「文豪が愛した朝食」を食してみたいと思い、天ぷらで有名な和食堂へ。えぼだいの干物、卵焼き、ほうれんそうのおひたし、めんたいこ、ひじきといったおかずたちは、濃い味付けの江戸の味。吟味された材料を使い、きちんと作った朝食という感じだった。
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From Editor | 編集後記
10月に入り、時ならぬ真夏状態の再来に襲われたエリアもありましたが、朝夕の風はすずしく、確実に季節は移っているようです。そんな中、再び起こったバリ島での爆弾テロのニュースに心が痛みます。前回の爆弾テロの影響で激減した、観光客がようやく戻ってきたと聞いていたので、前回以上にショックを受けました。亡くなられた方のご冥福と負傷された方のご回復をお祈りいたします。

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