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Volume.113
Released at 18 Oct. 2005 |
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友家ホテル(2)
着実に進化している「食の宿」 |
食の温泉宿として紹介したことのある大湯温泉の友家ホテルから、別館の301−303号室の改装が完了したというDMが届きました。食事の水準が高く、再訪してみたかった宿でしたので、さっそく予約しました。実際に行ってみると、古びた外観や前時代的なエントランスなどは、まったく変わっていませんが、宿泊した301号室(写真)をはじめ、改装された3つの客室や、新装なった和モダンの「龍神の湯」などはかなり魅力的な存在で、友家ホテルが着実に魅力を増していることを肌で感じました。
この宿の魅力は、何と言っても食事の水準の高さにあります。自分の食べたくないような物を人様にお出ししない、形だけ真似た料亭風、懐石風の料理は、性に合わないし、はずかしい、既製品はやめよう、活きの悪いカニより新鮮な鰯といった明確なコンセプトを掲げ、スタッフが「みんなでワイワイ言いながら作る」という友家ホテルの料理は、地の食材を中心にした手間のかかった料理です。みんなで作るとは言っても、素人料理ではまったくなく、腕の確かさや、ウチの看板は料理なんだという気持ちが明確にゲストに伝わる高い水準の料理です。
今回は、301−303号室と料理の紹介を中心に、改装された浴室など、前回紹介しなかった部分に絞って記載することにしました。バックナンバーと合わせてご覧いただければと思います。 |
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名称: |
越後大湯温泉 友家ホテル |
所在地: |
新潟県魚沼市大湯温泉 |
TEL: |
025-795-2111 |
FAX: |
025-795-2711 |
室数: |
16室 |
主な施設: |
大浴場2 貸切風呂2 |
URL: |
http://www5.ocn.ne.jp/~tomoya-h/ |
プロフィール: |
1950年開業、83年現在の建物に改築。2005年、改装した301−303号室と新装なった龍神の湯で、さらに魅力が増した。 |
泊まった部屋: |
301号室 1泊2食 2名利用の1名分 19,200円(税サ込み) |
撮影時期: |
2005年08月 |
投稿者: |
ティンブリーミー |
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カラフルなクッションが特徴の302号室
別館302号室の和室からリビングスペースの方向を見る。ソファに並んだ色とりどりのクッションが特徴の部屋である。和室の名残りの欄間や床の間とモダンなソファの対比がおもしろい。
和室12.5畳+リビング10畳、珪藻土のお手洗い空間とゆったりしたドレスルームが整備されている。 |
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カジュアル感のあるインテリア
301−303号室は、若主人が、デザインからインテリアの選定まで自分で行ったという。302号室のリビングスペースは、畳敷きにソファやクッションが置かれている。オットマンにも使えそうなクッションが2つ。これが何とも可愛らしい。角のない不定形のテーブルがよく似合っている。
リビングの窓から佐梨川の渓流が見下ろせ、窓を開けると少しうるさいくらい川の音が響いてくる。 |
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落ち着いたインテリアの303号室
別館303号室は、和室12.5畳+リビング8畳と多少小さい。その分、1泊2食の料金は、2,000円ほど安く設定されている。涼しげなすだれが夏らしさを演出しているのが、和室からリビング方面の眺め。リビングがやや狭いのからか、ソファ類の配置がコンパクト。デザイン性の高い照明が目を引く。 |
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ベージュのラブソファ
303号室のリビングは板張りで、中央に籐製のラブソファが置かれている。照明は凝っており、外が暗くなってから親密さを感じさせる空間をつくりたいという狙いを感じた。
リビングの壁際には、冷蔵庫などがむき出しで置かれていて、改装前の部屋の名残りが一部に見られるが、ワンパターンになりやすい通常の「和モダン」とは異なる、作り手の趣味を感じさせる空間が印象的だった。 |
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泊まった301号室
宿泊した別館301号室は、3室中もっとも広く、和室12.5畳+リビング約12畳。板張りのリビングに置かれたL字型のソファが部屋の下半分を仕切る形になっているため、ジュニアスイートのような雰囲気。大きなフラットTVとCD/DVDレコーダーが設置されており、持参したDVDを楽しんだ。
浴室をつぶして作られたウォークインクローゼットがあり、収納スペースに余裕のあるのが嬉しかった。 |
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思わず欲しくなったソファ
ソファの右側、一段高くなったカウチ部分は、堅めのクッションで、寝っころがるのに最適。一方、左側は、座るのにちょうど良い高さでクッションも柔らかく、フラットTVの方を向いている。畳の黄色、床材のベージュに合わせた、ベージュ色のソファや黄緑と浅黄色のクッションというカラーコーディネートは、快適なくつろぎ空間を提供してくれた。 |
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モダンな洗面スペース
白で統一されたシンプルな洗面台は、大きめのシンクが特徴。「最近和モダンの宿ではやっている陶製のシンクは、見た目は良いのですが、水がはねやすいので、機能第一を前提にデザインを考えてみました。」という若主人の言葉が象徴するように、単なるデザインに走らず、ゲストの使い勝手を考えたコンセプトの部屋づくりに好感がもてた。シンクの片隅に生けられた野の花が愛らしい。 |
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不思議な逸話を持つ「龍神の湯」
新装なった龍神の湯は、すだれ越しに佐梨川の渓流を見下ろす白木の浴槽に清潔感と清涼感があふれている。シャワーブースが1人ずつ仕切られ、水のはねを気にせずに体を洗える合理的な構造。
通常は女性専用だが、客数の少ない日には、貸切風呂として男性も利用できる。宿泊当日は、幸運にも「龍神の湯」のほか「扇の湯」「貸切露天風呂」の3つの浴室を貸切で利用することができた。 |
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感性のたまもの
貸切露天風呂の脱衣場がすばらしい。白木でできたハニカム状の脱衣棚は、東京の目黒にあるインテリアショップ「マイスター」のオリジナル商品”BEEHIVE
SHELF”で、本来は壁面を収納スペースに変えるためのもの。さらに、日本の工業デザインの先駆者、柳宗理氏のバタフライスツールが置かれ、旅館とは思えないほどモダンな空間。こういうものを選んでくるのも、すべて若主人のインテリアへの深い造詣と感性である。 |
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おもちゃ箱のようなお休み処
本館の貸切露天風呂の脇がお休み処になっている。派手な模様のモダンな椅子や、303号室で見たスウェーデン製の照明があると思えば、赤い床に縁台が置かれ、温泉卓球用の台もあるという、おもちゃ箱をひっくり返したような空間が楽しい。
もうひとつのお休み処には、ビリヤード、ダーツから野球盤まで遊び道具が備えられ、1,000冊を優に超えるコミック本が並んでいる。飽きさせない工夫もなかなかのもの。 |
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爽やかさを演出する夏の夕食
夕食の膳には、爽やかさを強調した夏らしい品々が並んだ。前菜として枝豆入りのレンコン豆腐や、フキと細竹の煮込みが出され、冷しゃぶ、お造り、洋皿(エビとツブ貝と八色椎茸のソテー)へと続く。その後出てきたのが写真の2品。左側が生ウニを餅の中に入れ、淡い味付けの中にウニのこくが拡がる「うにもち」、右側が清涼感満点のオクラのすり流しである。
献立の流れの中で、皿ごとに味の軽重、濃淡がはっきりしていて、そのバランスが絶妙なのだ。これが、友家ホテルの真骨頂。 |
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魚沼の清流に育まれた天然のアユ
山の宿における夏のご馳走といえば、香魚(鮎)だろう。地元魚沼の清流に育まれた鮎の塩焼きは、平凡のようでいて、やはり夕食のハイライト。形は大きからず小さからず、姿や焼き加減もすばらしかった。付け合わせのフキの飴煮も美味で、丁寧に作られていることがよくわかる味だった。
秋には、地元で取れたさまざまなキノコが、当然のように宴の主役になるという。 |
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地酒の肴、ご飯の友に好適な漬け物
ガラス鉢の中、氷の上に盛られた漬け物があまりに美しかったので、ぜひ紹介したい。つややかに光っているナスの浅漬けは新潟の夏の代表選手。左側に見える山椒の実を小さくしたようなものは、晩春に白い花をつける高木、アンニンゴ(ウワズミザクラ)の蕾の塩漬け。そして、奥がマタタビの塩漬けというラインナップは、山里の宴の締めくくりにふさわしい。新潟の地酒が進むこと、この上ない。 |
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魚沼産コシヒカリが朝食の主役
ここは新潟、それも魚沼なのだから、朝食の主役は当然地元のコシヒカリでなければならない。そして、おかずは、御飯をひきたてるものでなければならない。そんなリクエストに応える朝食は、鮭の塩焼き、モロッコインゲンのおひたし、ナスの煮込み、地元「きんちゃんハム」製のソーセージ、卵焼き、ナメコと豆腐のみそ汁といった内容。御飯のおかずにピッタリの少し濃いめの味付けが、主役を十分にひきたててくれた。 |
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