寒くなると食べたくなる。そう、それは上海蟹。ホテルニューオータニ東京のHPを眺めていたらTaikan Enで上海蟹フェアーをやっていたので早速予約。 初めて訪れたTaikan En。土曜のランチです。ランチといえばオバサマ方。土曜といえばファミリー。そんな思い込みを吹き飛ばしてくれるかのように、見渡す限りの中年男性。内装はダークブラウンのフローリングに黒い椅子。その中で、テーブルクロスの白さが、より一層コントラストを増して気持ちがいい。 このレストランは、本館最上階ひとつ下の16階に位置し、立てば眺めはいいのでしょうが、座っていると古びたビルの頭が見えるだけ。あっ、そう、まだ見えます。本館は湾曲した建物のため、今いる建物の外壁が見えるのです。「火事で焼けたホテルってここだっけ?」外壁を見ながらナプキンを膝に置く春絵は、むかし火事を起こしたホテルと勘違いしています。 12,000円の上海蟹コースのメニューを見ると、上海蟹を使ったさまざまなお料理が書かれていますが、肝心の姿蒸しがないのです。これを食べなければ上海蟹を食べた気がしないので、春絵はメス、私はオスを追加。どれも手の込んだ見た目にも美しい一品が、次から次に運ばれてきます。ヤバイ、だいぶお腹がいっぱいになってきた。姿蒸しを美味しく食べたいのに。「わー、このお団子おいしい!食べてみて」と言いながら、春絵は私のお皿に載せてきます。どうやら春絵も同じらしい。だって、私のお皿には同じ物がまだ2つ置かれているのですから。 来ました、来ました、上海蟹。うやうやしく漆黒のお盆に載せられて。テキパキと甲羅をさばく男性スタッフ。ウエイトレスは見当たりません。異様に多い男性率。内も外も景色は悪いがやっぱり旨い上海蟹。ねっとりとした黄色い味噌にしゃぶりつくと、独特のあの甘さが口いっぱいに広がります。殻や身が飛び散りますが、お構いなし。美味しいよー!春絵の蟹には卵が入っているので、外子を食べ終え内子に取り掛かっています。店内のわずか二人の女性が一名になろうとしています。 そんな至福の瞬間に、春絵はフィンガーボールに視線を走らせました。そして、水面に浮かぶジャスミンを素早く箸で捕まえると、こともあろうかパクッと食べたのです。フィンガーボールの水を飲んだ客人に恥をかかせまいと、主人自らも飲み干したという逸話は聞いたことありますが、私はジャスミンを食べることが出来ず、「蟹の身が飛んだのだと思った」と言う、ショボンとした春絵を前に大笑いしてしまったのです。結果、ニューオータニ1階アーケードのドルガバで靴を買わされることになり、飲み干した主人の偉大さをしみじみ実感したのでした。 Taikan Enのリターン指数は3。料理も美味しく、上海蟹にも満足いたしまいたが、ホテルの中華料理店は、やっぱりホテルの数だけあります。他のお店を制覇してからじゃないと行かない気がするので。でなければ、また魅力的なフェアーをやっていたら行ってしまうかも。 Taikan En 千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ (ザ・メイン16階) TEL 03-3238-0030 (アクセス・地下鉄赤坂見附駅・永田町駅から徒歩3分) http://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/taikanen/